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音のリズムで気持ちや情景を感じ取る「能」
能楽堂に入ると、4本の柱で支えられた大きな屋根付きの舞台(能舞台)が目の前に。奥には松が描かれています。そのどっしりとした佇まいに、大使たちも少し緊張の面持ちです。


まずは能から。最初にナビゲーターの藤田隆則(ふじた たかのり)さんから解説があり、能について説明を受けました。「能は約700年前の室町時代からある、日本の古いミュージカルです。音楽のリズムが非常に重要で、リズムのなかに主人公の気持ちや情景などが込められています」。
今回の演目は「敦盛(あつもり)」です。
源氏と平氏が争う平安時代末期。一ノ谷の合戦で、若い平敦盛を討ち取った熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)は、それを後悔して出家し、蓮生法師(れんしょうほうし)と名乗るように。敦盛を弔(とむら)うために蓮生法師がお祈りをしているところに、敦盛の幽霊が現れて……というストーリーです。








能楽師の力強く洗練された所作、能面の表情、囃子方(はやしかた)が奏でる笛、小鼓(つづみ)、大鼓の音色。能舞台の上でそれらが一つになって、物語を進めます。リズムが現代音楽とは異なり、また、セリフは昔の言葉で発せられるため、大使たちは聞き逃すまいと集中。じっくり鑑賞して、登場人物それぞれの想いや、情景を思い浮かべている様子でした。
会場から笑い声も!お笑いの元祖といわれる狂言
続いて狂言。
まずはナビゲーターの小笠原弘晃(おがさわら ひろあき)さんからの解説です。「ドラマチックでミュージカルのような能と、現代の漫才やコントなどのお笑いの元祖といわれている狂言。この二つは、よく双子の兄弟にたとえられています。狂言はとても楽しく見られるものなので、ぜひリラックスして見てみてください」。

今回上演されたのは「柿山伏」。修行の帰りにお腹がすいてしまった山伏が、柿の木を見つけて無断で実を食べていたところに、畑の持ち主が見回りにやってきて繰り広げる珍騒動。
木の陰に隠れた山伏を見つけた畑の持ち主は、からかってやろうと「あれはカラスだ」「サルだ」と呼びかけます。正体がばれないよう、山伏もその動物の鳴き真似をするのです。役者のコロコロ変わる表情や、コミカルな仕草に、会場のあちこちから笑い声が聞こえていました。




発祥は江戸時代。華やかに舞う姿が魅力の日本舞踊

次に、日本舞踊の常磐津「屋敷娘」へ。
ナビゲーターの若柳弥生(わかやぎ やよい)さんが登場し、解説してくれました。「江戸時代に歌舞伎の流れを汲んで生まれた日本舞踊は、メロディーラインのある音楽に合わせて踊ります。能・狂言は武家社会を中心に発展したため男性が演じることが多いですが、日本舞踊は大衆の芸能として様々な人が演じました。今回は女性の立方(たちかた=踊り手)が演じます。
扇子や傘、振鼓(ふりつづみ)など使いながら踊るので、ぜひ道具にも注目してください」。


屋敷娘とは、江戸時代に礼や作法を学ぶ行儀見習いのために、大名屋敷に仕える若い女性のこと。一年に数日だけもらえる休暇の日に、実家に帰る屋敷娘の道中の様子を描いた楽曲です。なめらかで美しい動きに、ひらりとなびく着物の裾。傘や扇子を上手に使いながら、美しい音色に合わせて舞う屋敷娘の姿に、大使たちは日本舞踊の魅力をたっぷりと感じたようです。

すべての演目を終えて、最後は質疑応答。大使たちの手が続々と挙がります。能楽師 観世流 シテ方 河村晴久(かわむら はるひさ)さん、能楽師 狂言方 和泉流の小笠原由祠(おがさわら ただし)さん、日本舞踊の若柳弥生(わかやぎ やよい)さんが答えてくれました。
「それぞれの演目はどんな想いが込められていますか?」という質問には、「江戸時代に生まれた日本舞踊は大衆性があり、その当時の人々の暮らしが描かれています。なかでも恋愛をテーマにした曲が多いですね」と若柳さん。
さらに、「役を演じる時に、気を付けていることはなんですか?」という質問に小笠原さんは「役者としてその人物になりきることはもちろんですが、狂言は伝統芸能。その様式から逸脱しないように、決められた形のなかで常に役になりきることを常に心がけています」と教えてくれました。


河村さんも能の魅力を語ります。「古い芸能が現代でも残っているのは、感動があるからこそ。今を生きる人たちに訴えかけることを大切にしています。また、能の基礎をつくった世阿弥(ぜあみ)が残した『初心忘るべからず』という言葉があります。これは自分が若かった時のことを忘れるなという意味ではなく、その時々の初心を忘れるなということ。私はいつも新鮮な気持ちで能と向き合い、舞台に立っています」。
言葉、和楽器の音、そして所作。大使たちは、想像力を精いっぱい働かせながら、大切に受け継がれてきた日本の伝統芸能を楽しんだようでした。



取材した公演について
[出演]能・狂言 公益社団法人能楽協会 京都支部
日本舞踊 若柳弥生 社中
[公演名]京の伝統文化体験事業「親子でも!ようこそ和の空間」
主催:京の伝統文化体験事業実行委員会
企画運営受託先:公益財団法人京都市芸術文化協会
[実施日]令和5年2月11日(土・祝) 午前の部
[会場]金剛能楽堂
金剛能楽堂
能楽とゆかりの深い室町幕府の「花の御所」があった場所の近くに、2003年に開館。能舞台は、明治時代に建てられた旧金剛能楽堂のものを移築。歴史ある能舞台を今に受け継いでいます。
[場所]京都市上京区烏丸通中立売上ル
[電話]075-441-7222(9:00-17:00)
[HP]http://www.kongou-net.com/index.html
※所属・学年は取材時
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大鹿 明壱さん
(京都市立第三錦林小学校6年)日常であまり触れることのない伝統文化を見ることができて、興味がわきました。それぞれに特徴があり、見ていて飽きず面白かったです。今度伝統文化について調べてみたいと思いました。機会があれば、能や狂言、日本舞踊をもう一度見てみたいです。
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木山 空也さん
(京都市立鏡山小学校6年)能楽鑑賞は初めての経験でした。舞台が近くてとても迫力があり、客席との一体感も素晴らしかったです。狂言はテンポが良く、言葉が分かりやすかったです。能は衣装や面、舞や動きが美しく、あっという間に時間が経ちました。もっと伝統的な文化や芸能に触れていきたいと思いました。
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塩田 麻結さん
(京都市立伏見南浜小学校6年)能の敦盛では、ずっと同じ面をつけて演じているのに、和楽器の音色や謡、舞によって違う表情に感じました。狂言の柿山伏は、喜劇でとても面白かったです。日本舞踊では、きれいな踊りと道具による工夫で、言葉がないのに今どのような気持ちなのか、感じることができました。
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玉置 結芽さん
(京都市立嵐山東小学校6年)今まで能や狂言、日本舞踊を実際に見たことがなかったので、その雰囲気に圧倒されました。見ていくうちに、言葉の意味もだんだんと分かるようになりました。特に狂言は喜劇だったので、とても面白かったです。その後、役者の方にさまざまな質問をしましたが、初めて知ることばかりでした。
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出原 るんさん
(京都市立京極小学校6年)能が一番印象深かったです。言葉が難しかったので、情景をあまり想像できませんでしたが、謡や音楽のノリが良く、ワクワクしました。霊の敦盛が、直実と「法の友」になって帰っていくところは切なかったです。私たちの世代も伝統芸能を大切に受け継いでいかなければならないと思いました。
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長岡 倖太朗さん
(京都市立御室小学校6年)能や狂言には、独特の言葉づかいや音程があり、日本舞踊には言葉がありません。それぞれ、理解するのは難しいですが、音楽や動作で場面の様子や登場人物の気持ちを想像できるのが面白いと感じました。演技を見ていると、自然にその世界に入り込んでいました。周りの風景が想像でき、楽しめました。
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中村 咲月さん
(京都市立嵯峨小学校6年)能は太鼓、小太鼓、笛の音、かけ声、演技と、すべてが想像していた以上の迫力でした。舞台も伝統的な造りで、さらに能の世界に引き込まれました。役者の方から「初心忘るべからず」という世阿弥の言葉を大切にしていると聞きました。私も知っている言葉だったので、能を身近に感じました。
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西本 圭さん
(京都市立二条城北小学校6年)能楽堂では、日本の伝統をたくさん感じることができました。能面を着けているのは、基本的に主人公やこの世の人ではない役だそうです。視界が狭く、柱の見え方で自分がどこにいるか確認していると知り、名人芸だと思いました。また、狂言でもお面を使うことがあると学びました。
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藤井 涼羽さん
(京都市立二条城北小学校6年)能、狂言、日本舞踊を観て 、約400~700年前の文化が、たくさんの人の「守りたい」という想いで今でも残っていることがすごいと思いました。役者の方が登場人物の気持ちになりきり、新鮮な気持ちで演じることが大切だと言っていました。伝統文化は現代にも通じるものがあると感じました。
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舩越 香撫さん
(京都市立西院小学校6年)これまで能、狂言、日本舞踊にあまり興味をもっていませんでしたが、今回初めて間近で鑑賞したことで、とても魅力的だと感じました。特に能はストーリー性があり、和楽器が奏でる囃子と調和した舞を見ていると、あっという間に時間が過ぎ、もっと他の演目も見てみたいと思いました。
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松下 智輝さん
(京都市立七条第三小学校6年)能楽は難しそうなイメージがあったのですが、事前に内容の解説があり、それを聞いて自分なりに想像しながら観ることができました。演じるときに、登場人物の気持ちを想像することを大切にしていると聞き、伝統を受け継いでいくことの大切さや重みを感じました。
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水崎 弘太郎さん
(京都市立久世西小学校6年)初めて能や狂言、日本舞踊を鑑賞しました。楽器や語りで表現する能はとても感動的で、まさに現代のミュージカルです。狂言の演目は学校でも習った柿山伏で、さまざまな動物の真似でごまかそうとする山伏の様子が描かれていて面白かったです。日本舞踊は着物と踊りが美しかったです。
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米澤 奈智子さん
(京都市立待鳳小学校6年)能、狂言、日本舞踊は今までテレビなどで見たことはありましたが、着物の色鮮やかさや足踏みをするときの振動など、生で見ると迫力がありました。伝統芸能は見る人がいなければ続けることができないため、未来に残していくためにも、もっと親しんでいきたいと思いました。
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渡辺 鈴菜さん
(京都市立向島秀蓮小中学校6年)役者の方が、登場人物の気持ちになりきることを大切にしていると知り、今の映画やドラマにも共通していると思いました。約400~700年前の芝居は難しいイメージがありましたが、ストーリーを知っていれば面白いのだと分かりました。今後伝統文化について学ぶときは、今の文化と比べながら楽しみたいです。